CBD基礎情報

【徹底解説✍️】第三者機関はどのようにCBDやTHC原料を検出・分析しているのか?第三者機関の選び方は?

今回はCBDやTHCを検出するための分析方法とその原理について解説します。

表記通りにCBDが含有されているか、THCが十分に排除されているか、などということも今回紹介する分析方法で確認することになります。

公的検査機関などでもTHCの検出方法にGC(ガスクロマトグラフィー)という分離手法を利用した分析機器が採用されています。

なお、記事の後半では、検査結果がラボによって異なることがあるのかということについても簡単に言及したいと思います。

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1. カンナビノイドの検出に使用される分析方法

植物から抽出されるオイル中の成分組成を確認する方法は、以下のいずれかの分析機器による方法が有名です。

  • GC-FID(ガスクロマトグラフィー: FID検出器)
  • HPLC(高速液体クロマトグラフィー)

GC-FIDのGC(Gas Chromatography)はガスクロマトグラフィー、HPLCのLC(Liquid Chromatography)は液体クロマトグラフィーを表し、いずれも分離方法を示す用語です。なお、FIDとは検出器の種類を示しています。

写真引用:What are the Differences between GC and HPLC ? (lab-training.com))

主に石油産業でGC-FIDが、製薬産業でHPLCが普及したと言われています。石油類は軽い有機化合物で、常温で気体もしくは液体です。一方で、薬の多くは固体で、製薬の過程で扱う中間体(薬の合成の途中段階の化合物)も液体か固体がほとんどです。

つまり、ざっくりいうと、気体になりやすい軽い化合物の測定にGCが、気体になりにくい重い化合物の測定にHPLCが利用されてきました。実は、カンナビノイドのような、あまり軽くもなく重くもない化合物は、どちらの分析方法も利用することができます。

1-1. GC-FIDとHPLC、それぞれの長所と短所

原理の説明の前に、各分析方法の主な利点と欠点を以下にまとめました。

GCでは測定したい試料を分析する際に、試料を加熱して気化します。200~300℃程度まで加熱することが多く、熱に弱い不安定な成分は分析中に壊れてしまうため観測できません。一方でHPLCの測定では、試料を加熱しないので分子(=化合物)が測定中に壊れにくいのが利点です。

また、GCでは、試料を気化しなければならないので、沸点の低い揮発性成分しか検出できません。

とはいえ、GCは感度が高く、測定がスピーディーなため、非常に汎用性が高い分析方法です。感度に関してはHPLCよりも成分の検出下限や定量下限が優れています。つまり、微量しか含まれていない成分についても検出および定量が可能です。

しかし、世の中にある既知の化合物の8割以上は十分な揮発性がない、あるいは加熱に対して安定ではないと言われているため、そのような高分子量の化合物や不安定な化合物でも分析可能なHPLCは潜在的にもっと広く利用される可能性があります。

1-2. カンナビノイドの検出にはGCかHPLCのどちらが良いのか

結論から言うと、GCとHPLCの両方の分析データがあるべきです。理由はどちらにも一長一短があるからです。ただし、用途によっては片方だけでも問題はないかもしれません。

CBDべイプ専用のCBDリキッドのように、加熱して吸入する用途でつくられるCBDオイルであれば、GCで分析するほうが良いでしょう。前述の通り、GCは試料を加熱および気化して分析にかけるからです。

一方で、加熱して吸引するのが目的ではないオイルなどの場合はHPLCの分析データがないと正確な成分組成はわからないでしょう。

なお、もう一つ重要なこととして、テルペンは揮発性の化合物なのでGC-FIDによる分析の方が適しています。そのため、これらは状況に応じて使い分けるのが正解です。

1-3. カンナビノイドの検出にHPLCを使う理由

実は、カンナビノイドの検出にGCではなくHPLCを使う具体的な利点は2つあります。

・まず1つに、GC(ガスクロ)のように成分を加熱して分析する方法では、加熱により変形してしまうカンナビノイドがあるためです。

・もう1つの理由に、カンナビノイドは加熱で十分に気化しない可能性があるからです。

一つ目の理由に関して、例えばCBDAを加熱すると簡単に脱炭酸してCBDになります。

したがってGC-FIDだと、CBDAやTHCA、CBGAなどのカンナビノイドの正確な含有量が確認できません。

二つ目の理由に関しては、純粋なカンナビノイドの沸点は比較的高いことに要因があります。すなわち、あるカンナビノイドが検出されたとしても、全ての量が十分に気化されているとは限らないため、正確な量を観測できていないかもしれません。

ただし、GC-FIDでTHCやCBDなどのカンナビノイドが検出されることは分かっています。これは、共沸のような現象があるため、微量であれば沸点を越える加熱温度でなくても気化するからです。

とはいえ、カンナビノイドの含有成分を正確に見たいのであればHPLCのデータが必要でしょう。

2. クロマトグラフィー(GCおよびHPLC)の原理と分析

原理については素人でも理解できるように、厳格性は排除して説明します。

下図はクロマトグラフィーによる成分分離の原理についての概略図です。

クロマトグラフィーとは図のような固定相と移動相を利用した成分の分離方法です。

固定相は、「カラム」と呼ぶ「配管のような構造」の内側に充填されている素材で、混合物中の成分に吸着することで成分をカラム内にとどめる働きがあります。すなわち、上図の筒状の「カラム」とは、分離装置として機能する、固定相が充填されている配管のような部分のことです。

一方で移動相は成分を運ぶためのガスや液体であり、圧力をかけてカラム内に流します。

成分(=化合物)にはそれぞれ特有の構造・性質があります。このような「個性」によって、それぞれの成分は、「固定相への吸着力」や「移動相による運ばれやすさ」が異なります。

固定相に吸着されやすい(とどまりやすい)物質はカラムの出口に到達するのが遅くなりますし、固定相に吸着されにくく、移動相に運ばれやすい物質はカラムの出口に到達するのが早いでしょう。

このように物質(=成分)の性質ごとにカラムの出口に到達する時間が異なってくるため、成分を分離することができます。GCやHPLCでは、カラムの出口に検出器があり、出口に到達するまでにかかる時間で、その成分が何の物質なのかを判断しています。

なお、「移動相に運ばれやすい」について、一般的にGCでは成分の沸点が低いほど(揮発性が高いほど)、HPLCでは移動相に成分が溶けやすいほど、「運ばれやすい」成分になります。

3. 大麻由来カンナビノイド製品のHPLC分析の例

ここからは具体的に、カンナビノイドを含むべイプ製品の含有成分を調査した研究論文を引用して説明していきます。

まず、下図の分析結果をご覧ください。

引用:https://www.mdpi.com/2305-6304/8/1/8/htm

これがHPLCによる分析結果の例です。Cのチャートから、11種類の天然のカンナビノイドが明確に観測されることが分かります。

なお、図中のCは、カンナビスの成分で検出されると予想される化合物を混合したサンプル試料をあらかじめ測定したものです。Cの図を参考にAやBのチャートを見ます。

AとBの図は、実際のべイプリキッド製品の含有カンナビノイドを測定した結果の例です。AではTHCが最も多く含まれていることが分かります。

BではΔ8THCの方がΔ9THCよりも多く含まれていることが分かります。なお、一般的にTHCと呼んでいるものはΔ9THCのほうです。Δ8THCはΔ9THCと構造が似ていますが、微妙に違いがあるため区別されています。

※実際は、化合物によって検出感度が大きく異なることがあるため、1つのチャートだけで、だいたいの成分量の比率を見積もることはできません。しかし、カンナビノイド同士の比較であれば、お互いの化合物の性質・構造が似ているため、ある程度は山(ピーク)の大きさで含有量の違いを判断できます。なお、「1つのチャートのみ」で、迅速に成分の割合を見積もることができないだけで、測定データから正確な含有量を計算することは可能です。ここでは詳細な説明は割愛させていただきます。

このHPLCで特に注目するべき部分は、THCAやCBDA、CBGAなども検出できることです。GCでは加熱によってこれらの化合物が脱炭酸されてしまうので、観測できません。

また、それだけではなく、サンプル中のカンナビノイドの含有量を、より正確に計算することができるポテンシャルがあるのもHPLCの強みです。

4. 分析結果がラボによって異なることがあるのか

最後に、カンナビノイド製品を調べてもらった際にラボによって検査結果が異なることがあるのかということについて言及します。

結論からいうと、ラボによって検査結果に違いが出ることはあります。GCを使ったかHPLCを使ったかの違いは勿論のこと、測定条件や検出器の違いでも差が出てくるかと思います。

しかし、私が考えるに、分析方法や測定条件の差による違いも多少はあると思いますが、それ以上に測定前におけるサンプルの作り方が影響を与える可能性が高いと思っています。特に、既に製品化されたものを測定する時です。

どういうことかというと、例えば、CBDをしみ込ませた布を加熱して使用するような製品があった時に、その製品のCBD含有量を検査してもらうために、布を別のオイル(溶剤)などで抽出して溶液サンプルをつくったりします。この時に、抽出が不十分な場合や、拡散力の低いオイル(溶剤)を使用した場合、正確な量が測定できなくなります。

CBDは融点(固体が液体になる温度)が60℃を越えています。また、結晶化もしやすい化合物だと考えられます。したがって、布などの吸着材に付着したCBDは抽出しづらい可能性があります。

抽出する際は、まず適切な抽出溶剤を正しく選択し、高温で超音波を用いて抽出するなどの工夫が必要でしょう。測定を行った後も繰り返し抽出作業を行い、カンナビノイドが観測されなくなるまで抽出&測定を続けないと正確な含有量は計れないかもしれません。

このような場合、抽出作業(=溶液サンプルの作成)も測定機器を持っている専門家に正しく行ってもらうべきです。あるいは、布にしみ込ませる前(=製品化直前)のCBDオイルの測定データを探すのがよいでしょう。

製造過程での測定は、測定サンプルの作成法が確立しているでしょうし、専門家が行っていると言えるので、正しい測定データである可能性が高いのです。

5. まとめ

カンナビノイドの検出・分析にはGC-FIDとHPLCをうまく使い分けることが大切になるでしょう。特に、GC-FIDとHPLCの両方のデータをこまめに測定しているメーカーや研究機関は信頼できると言えます。

GC-FIDは汎用性が高く、あらゆる場面で利用できるため、分析に必須の機器と言えます。また、テルペンは揮発性の化合物なのでGC-FIDによる分析の方が適しています。

しかし、カンナビノイドの含有成分を正確に見たいのであればHPLCの測定データは必須です。したがって、GC-FIDのデータは当然あるものとして、それに付随してHPLCが測定されているかを確認するのがおすすめです。ただし、目的によってはHPLCの分析のみでも問題ないでしょう。

繰り返しにはなりますが、弊社で実施しているカンナビノイドの検査・分析サービスをご利用されたい方は、以下よりお問い合わせください。また、サービス概要は以下よりご確認いただけます。

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LUNA
tokyo mooon編集長。日本臨床カンナビノイド学会会員。青山や代官山によく足を運びます。