夜中に息苦しくて、途中で目が覚めることがある場合、睡眠時無呼吸症候群にかかっている可能性があります。
その症状、危険因子、それがどのように診断され、治療されているかなど、この睡眠障害についての詳細を知りたい方は是非本文を読んでみてください。
Contents
1. 睡眠時無呼吸とは
日本では、約3,000万人が睡眠時無呼吸症候群の患者だと推定されています。軽症以上が2200万人、中等症以上が900万人だというデータがあります。
睡眠時無呼吸には大きく2つのタイプがあります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に上気道への空気の流れが繰り返し遮断されます。中枢性睡眠時無呼吸は、脳が呼吸を刺激するための正しい信号を送らないことで起こります。
睡眠時無呼吸症候群は、これに対処しないと将来的により深刻な障害につながる可能性があります。
2. 睡眠時無呼吸症候群の症状
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の専門家が診断します。睡眠時無呼吸症候群の最も一般的な症状は以下の通りです。
- 睡眠中に呼吸が止まる
- 大きないびき
- 睡眠中に空気を吸うために喘ぐ
- 日中の極度の疲労
- 朝方の頭痛
- 睡眠後に疲れを感じる
- 夜間に頻尿になる
- 目覚めたときに口が渇く
- 起床時に頭痛がする
- 注意力と集中力の低下
- 運動能力および記憶力の低下
- 性機能障害または性欲減退
睡眠時無呼吸症候群の症状は、個人毎に異なります。記載されている症状のすべてがあてはまることはありません。これらの症状の一部を実際に体感した場合、医師に伝えることが重要です。
3. 睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群の原因は様々です。年齢やライフスタイルによってリスクが高くなる場合があります。特定の病気は、睡眠時無呼吸症候群を発症させるリスクを高めます。これらの条件には以下が含まれます。
- 肥満
- うっ血性心不全
- 心房細動
- 2型糖尿病
- 夜間性不整脈
- 肺高血圧症
適切な治療と医師の診察で慢性的な症状をコントロールし、睡眠時無呼吸症候群の発症を回避できます。
4. 睡眠時無呼吸症候群のリスクがある人
睡眠時無呼吸症候群は、子供を含む多くの人々がかかる可能性があります。特定の要因が、この慢性疾患を発症するリスクを高めます。
最初の主要な危険因子は、不健康なライフスタイルです。アルコールまたはタバコの消費は、睡眠時無呼吸症候群につながる可能性があります。
アルコールは、上気道の筋肉が喉を塞ぐ原因となり、睡眠中に脳が呼吸するための信号に影響を与える可能性があります。
タバコは気道の炎症を引き起こし、呼吸を悪化させる可能性があります。一般的に、運動不足や貧しい食生活などの不健康な生活習慣は、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める肥満につながる可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群はすべての年齢の人に影響を与えますが、高齢者はリスクが高くなります。脳は加齢とともに変化し、睡眠中の呼吸の制御に問題が生じることがあります。加齢とともに、脂肪組織が首や舌の近くに蓄積して気道が狭くなることもあります。
睡眠時無呼吸症候群の家族歴があると、発症するリスクが高くなります。家族歴がある場合は、健康的なライフスタイルを維持することがリスクを軽減する上で重要です。睡眠時無呼吸に寄与する遺伝子は、顔の構造、肥満、炎症などが原因である可能性があります。
5. 睡眠時無呼吸症候群のリスク
睡眠時無呼吸を放置すると、より深刻な障害につながる可能性があります。喘息、心房細動、および特定のがんなどの疾患を発症するリスクが、睡眠時無呼吸の患者では高くなります。
睡眠時無呼吸に伴う睡眠の質の低下は、注意力、集中力、運動、記憶力の低下などにつながる可能性があります。
子供の場合、睡眠時無呼吸を治療せずに放置すると、学習障害が生じる可能性があります。 また、睡眠時無呼吸は心臓にさらなるストレスを与え、心臓発作、心不全、高血圧、さらには脳卒中などの原因となります。
睡眠時無呼吸は目に影響を与え、糖尿病を引き起こし、妊娠合併症を引き起こす可能性もあります 。 閉塞性睡眠時無呼吸は高血圧や脳卒中、冠動脈疾患の高いリスクと関連しています。睡眠時無呼吸が実際にこれらの疾患の発症の原因となっているのかは明らかではありません。
また、これらの心疾患を含む全身の健康状態が悪い患者は、睡眠時無呼吸症候群になりやすい可能性があります。いずれにしても、睡眠時無呼吸症候群の徴候や症状に注意し、必要に応じて治療することが重要です。
6. 睡眠時無呼吸症候群の診断方法
睡眠時無呼吸症候群は医師の診断が必要です。睡眠時無呼吸症を罹患していると思われる場合、医師はいくつかの診断を実行します。
睡眠の調査により、睡眠パターンをモニタリングします。医師は、睡眠の調査を評価し、病歴を取り、睡眠時無呼吸症候群にかかっているかどうかを判断するための物理的な検査を行います。
睡眠時無呼吸症候群は合併症によるリスクが高く、多くの症状を抱えている場合は、睡眠の診断を行うことをお勧めします。症状には 肥満の方、心不全、冠動脈疾患、脳卒中の既往歴のある方、心拍数が著しく速い方、遅い方などが含まれます。
睡眠時無呼吸のための睡眠の診断では、血中酸素濃度、呼吸の速さ、脳波活動、足の動き、1時間あたりの部分吸入の発生数（無呼吸や低呼吸の発生率とも呼ばれる）などのモニタリングが含まれます。これらのモニタリングは、あなたが睡眠時無呼吸かどうか、睡眠時無呼吸の種類、睡眠時無呼吸の重症度を医師が判断するのに役立ちます。
7. 睡眠時無呼吸の治療方法
睡眠時無呼吸症候群の治療法には様々なものがあります。
治療法は、基本的な行動療法から侵襲的な手術まで多岐にわたります。ここでは、最も一般的な睡眠時無呼吸症候群の解決策をご紹介します。
7-1 持続陽圧呼吸療法（CPAP療法）
CPAP療法は、軽度〜重度の睡眠時無呼吸の治療法として推奨されています。
CPAPの装置は、睡眠中に鼻、口腔、または口腔＋鼻マスクを介して空気を気道に供給します。気道が開いたままになるので、より良い呼吸ができるようになります。この装置は、眠気や生活の質を改善することもできます。
7-2 ライフスタイルの改善
健康的なライフスタイルを送ることで、睡眠時無呼吸症候群のリスクを軽減し、睡眠時無呼吸症候群を治療することができます。
減量は睡眠時無呼吸症候群を劇的に改善することができます。健康的な食事を採用することで、体重を減らし、睡眠時無呼吸を改善し、他の慢性疾患を発症するリスクを減らすことができます。
運動は、体重を減らすだけでなく、他の慢性的な心臓病を改善するのにも役立ちます。また、アルコールやタバコの使用量を減らすことは、睡眠時無呼吸症候群に関連する症状の改善に直接影響を与えることが明らかになっています。
睡眠時の体勢は、睡眠中の気道の機能にも影響を与えます。体勢の治療は、気道を開いた状態を維持し、呼吸をスムーズにし、最適な睡眠の体勢を維持するのに役立ちます。アラーム、テニスボール、睡眠時無呼吸症候群枕などを利用して、正しい姿勢を保つようにします。
口と顔の筋肉療法も効果的です。口腔筋治療は、唇、舌、軟口蓋、顔面を制御する筋肉を強化するのに役立ちます。この治療法は、気道を開いた状態を維持するために最適な位置に筋肉を維持します。
7-3 睡眠時無呼吸マウスピース
睡眠時無呼吸症候群用マウスピースのような装置は、適切な空気の流れを提供するために上気道を拡張します。
睡眠中に顎の位置を変えることで、気道を開いた状態に保つことができます。CPAPを使用できない、または使用したくない軽度または中等度の睡眠時無呼吸症候群の患者には、経口装具が最適です。重度の睡眠時無呼吸症候群の患者には、経口装具は他の治療法と比較して効果的ではない場合があります。
7-4 睡眠時無呼吸症候群の手術
睡眠時無呼吸の手術には、呼吸を改善するための上気道の手術が含まれています。
このような手術で適している患者は、扁桃腺が大きいなど上気道に異常がある場合です。手術には、扁桃腺を切除したり、顎を動かして気道を拡大したり、気管チューブを作って呼吸を助ける気管切開術などがあります。
他の外科手術では、呼吸パターンを感知して筋肉を刺激し、睡眠中に気道を開くようにするインプラントを配置します。気道を開いたままにし、舌の動きを制御するために神経刺激装置を手術中に配置することができます。
7-5 肥満手術
肥満外科手術とは、ラップバンドや胃バイパスのような手術を指します。これらの手術は、通常の方法では体重が減少しなかった患者の大幅な減量を可能にします。従来の睡眠時無呼吸症候群の治療法に比べると新規の治療法であり、侵襲的外科手術です 。特定の研究では、肥満手術によってBMIと体重が減少する一方で、治療を必要とする睡眠時無呼吸症候群の症状が依然として存在することが示されました。
肥満手術を受けた患者の最大40％が睡眠時無呼吸を再発する可能性があり、継続したフォローアップが非常に重要です。
7-6 薬物療法・在宅酸素療法
睡眠時無呼吸に対して広く有効な薬は存在しませんが、睡眠時無呼吸を助長する内分泌疾患（例、甲状腺疾患）の治療には、薬が有効です。また、在宅酸素療法という治療法もありますが、睡眠時無呼吸症候群の最優先の治療法としては推奨されていません。
8. おわりに
睡眠時無呼吸症候群の効果的な治療方法はたくさん存在することをお分かりいただけたでしょうか？
健康的なライフスタイルを送ることで、睡眠時無呼吸症候群を治療することができます。ライフスタイルの改善に加えて、CPAPなどの装置を使用して睡眠を改善することもできます。
睡眠時無呼吸症候群の症状があると思われる場合は、医師の診断を受けることが重要です。
睡眠時無呼吸症の患者は、継続的で長期的な治療をすべきです。 睡眠時無呼吸症の合併症を避けるためには、長期的な管理がなにより重要です。治療を受けて睡眠時無呼吸が正常に解消された場合は、引き続きモニタリングを行い、症状の再発を防ぐことが重要です。
